世界一陽気なお墓のある村

東欧の東の端に位置するルーマニア。サプンツァ村はその北北西部、ウクライナに接する辺りにあるマラムレシュ県の小さな村だ。
ここは機織りが盛んで、一家に一台は必ず機織りがあり、絨毯などが織られている。

第2次世界大戦後、ルーマニアの領地となった。
それまで昔ながらののんびりとした土地だったマラムレシュをヨーロッパの人は「地の果て」という。しかし当の住民たちは古い伝統をしっかりと受け継ぎ、愛郷心をたっぷりもって暮らしている。

生活の基盤は農業と牧畜。そして人々はキリスト教を篤く信仰するが、結婚や葬式に対しては独自の習慣をかたくなに守っている。また彼らがモミの木を大切にするのも古くからの習慣だ。

この辺境の小さな村サプンツァに多くの観光客の足を運ばせるものがある。それは原色の絵入りの木彫りの墓が並ぶ墓地である。

Merry Cemetery, Sapanta Village, Maramuresphoto credit: Merry Cemetery, Sapanta Village, Maramures (24) via photopin (license)

墓に描かれているのは生前の職業など。看護婦や神父の姿もあれば、糸を紡いでいる絵もある。そしてユーモラスな詩までが添えられているのだ。

そこには一片の暗さもない。
墓を見るだけで、明るく派手好きで楽天家という住民の気質がよく伝わってくる。
冬の厳しい寒さをも溶かしてしまいそうな陽気さがこの村の生命力なのだ。

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